未来を明るく照らす研究
- 重信 颯人
- SHIGENOBU Ryuto
- 工学部 講師(ものづくり技術、電力工学)
Profile
沖縄県出身。2013年琉球大学工学部電気電子工学科卒業。2017年、琉球大学理工学研究科博士前期課程修了。2019年、琉球大学理工学研究科博士後期課程早期修了。
2019年、福井大学工学系部門工学領域電気?電子工学講座助教。2022年より現職。
研究者詳細ページ
電力 社会を支えるインフラ
電気はインフラ(社会を支える基盤)です。ふだん、意識して「電気が欲しい」と思っている方はほとんどいないでしょう。欲しいのは、電気を使ったことで得られる機能や価値です。
私は、電気を使うことで当たり前に皆さんが価値を創造し続けられるように、「電力のネットワーク」をどのようにしたらいいか、主に研究しています。電力ネットワークは、発電所から変電所や電力需給バランスを保つため一時的に蓄電する設備などを経て各家庭、事業所につながっています。
発電所は回るコマに例えることができます。火力、原子力などの大きな発電所は大きなタービンの回転力で発電し、現実のコマと同様、慣性によって安定し、ネットワークへ安定した電力を送る役割を果たします。ところが近年、増えている風力、太陽光などの再生可能エネルギーはひとつずつがコマとして小さい上、天候しだいで運転したり、しなかったりと非常に不安定。そんな安定、不安定な電源が一緒につながっている危うさが、今の電力ネットワークにはあります。私の研究の一つが、不安定な再生可能エネルギーに仮想的な慣性力を持たせる制御技術の開発で、不安定なエネルギーがネットワークの安定性を担うものへシフトするという目標を掲げています。
命を救うエネルギーへ
人間が生きていくために必要不可欠な電気ですが、昨今、生成AIの登場など技術の進歩により消費量は確実に増えています。私は、地球の再生能力と人間が行う資源の消費のバランスをみる、エコロジカルフットプリントという分野の研究も行っています。そこでは、人間の消費活動が遙かに大きいというのが分かっており、今の地球は持続可能でないという状況が生まれています。
文明の恩恵を受けられるのは、やはりエネルギーにアクセスできる人たち。昨今、災害や戦争、資源価格の高騰により、電気にアクセスできずに、命を落としてしまう人もいる。もし、電気によって救われる人たちがいるのであれば、私は、いつでも誰でもどこでもエネルギーにアクセスできる状況を作っておきたい。みなさんには、これは自分に本当に必要な電気なのかをいつも考えていてほしいのです。
30歳を機に一念発起し、チェロを始めました。いろんな調和?不調和(ハーモニー)を私生活でも楽しんでいます。