アフリカの理数科教育 子どもの学びを変える
- 教育学部 講師(理数科教育開発)
- 高阪 将人 先生
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理数をつなぎ多面的理解を促す
教育学部を卒業後、教員になる前に様々な経験をしようと青年海外協力隊に参加し、パプアニューギニアへ。日本でいう中学3年と高校1年の理科と数学を担当する中で、子どもたちが理科の問題で数学を活用できていないと気づきました。例えば、比例の知識が使えず、「重りの量を2倍にしたら、バネが伸びる長さも2倍になった。では重りを3倍にしたらバネの長さは?」と問うと、わからないのです。
多くの開発途上国は、科学技術立国を目指して理数科目に力を入れています。子どもたちが出ていく社会は、教科で分断された世界ではなく、学んだ知識を総動員することが求められるのに、うまく噛み合っていない状況に歯がゆい思いを抱きました。
帰国後、途上国の教育をさらに学ぶため大学院に進学し、アフリカのザンビアを訪れ、国際協力機構(JICA)のジュニア専門員を経て、アフリカ各国などの理科と数学の関連付けを意識したカリキュラム開発を研究しています。
持続可能な教師教育を目指して
途上国の授業は、教科別の知識の伝達が中心になりがちで、他の教科とつなげようとする意識はあまりありません。そもそも教師自身が、担当教科以外の内容を理解しておらず、関連付けがわからないという問題もあります。
理科は、数学の関数分野とのつながりが多いといわれますが、理科では「バネ」、数学では「比例」というように文脈だけ変えて出題したテストの解答を分析したり、「フックの法則」「比例」「グラフ」「y=kx(1次関数)」などのキーワードをつなげて概念地図を作成してもらったりし、分断された箇所を見つけます。
現地の先生方と一緒に調査、研究する際、協力を得るための大変さはありましたが、実際に子どもが変化する様を目の当たりにして、現状の教育を変える必要性を感じてくれる教員も徐々に増え、「20年、30年とかかると思うけど地道にやるしかないね」と認識を共有できたことが嬉しかったです。
本学の教職大学院は、授業研究などの教師の学びを支えるコミュニティを形成する面に強みがあるので、私自身の研究とうまく結び付け、アフリカの先生方と一緒に進めていきたいと考えています。
今ハマっていること★
「水中ホッケー」は、人の動きが三次元で、息継ぎのため水中で長時間プレーできず、チームの連携がより重要になる所が面白いです。競技人口が少なく、選手はみんな友達。皆さん、一緒にやりませんか。