電池の世界

電子を試料に当て、発生する電気信号の強弱を検出することで、ミクロの世界の画像を詳細に得るのが電子顕微鏡です。

このカラフルな画像はスマートフォンなどに使われているリチウムイオン電池に使われている材料粒子です。ひと粒数ミクロン。電池の設計では、この1つの微細粒子のなかに、どれくらいの大きさの結晶がいくつあり、結晶の向きがどのくらい揃っているのかを知ることが重要になります。

これは走査型電子顕微鏡の信号を特殊な検出器を通すことで観察できます。粒子1個の中の結晶を観察するために、1ナノメートル(髪の毛の太さの約10000分の1)よりもさらに細く絞った電子線を使って行います。波は、屈折、散乱、反射、回折という現象をおこしますが、この検出器が使うのは「回折」という現象です。まっすぐに進む光の前に障害物をおくと、その光が回り込む現象が「回折」です。試料表面に電子線を走査させて得られた回折パターンを収集、このパターンをパソコンに取り込み、パターン解析を行うと、粒子の中の結晶をカラフルにマッピングした左にあるような画像がえられます。産学官連携本部では、こうした基礎的な結果を踏まえ、ノウハウに頼っていた材料作製の方法を捉えなおし、科学的に整理しながら、企業と共同で新たな材料づくりや技術開発を目指しています。

電池の世界
使用機器:走査型電子顕微鏡+電子線後方散乱回折
装置 8000~10000倍で観察