人間らしく生活するために
- 松峯 明彦
- MATSUMINE Akihiko
- 医学部 教授(整形外科学、骨?軟部腫瘍)
Profile
1960年、大阪府生まれ。1996年大阪大学医学研究科博士課程修了。大阪船員保険病院、大阪医療センターなど勤務後、2001年、三重大学医学部整形外科。2002年、フランス留学(パリCochin病院、St-Vincent de Paul病院)。2016年12月より現職。
研究者詳細ページ
整形外科の幅広い役割 がんの治療も
整形外科は、骨折などの外傷、腰痛、関節痛、脊椎?脊髄や神経の障害による症状、スポーツ障害など運動器の症状を治療する診療科です。私が研究しているのは、骨や筋肉?脂肪?神経?血管などに発生する悪性腫瘍、肉腫です。肉腫は、比較的若い人にもできるがんで、白血病や脳腫瘍のように、映画やテレビドラマで扱われることもあるので聞いたこともある方もいるでしょう。
新たな治療薬を目指して
肉腫がどのように大きくなり、転移するのかを知ることは大変重要です。これまで、肉腫の細胞を研究するときには平面的に広がった培養細胞を使っていました。しかし、平面的に広がった肉腫細胞は、ヒトの体内で塊として存在している肉腫とは全く異なることが分かってきました。
そこで、ヒトの肉腫から幹細胞を取り出して、試験管で実際の肉腫に近い立体的な塊「肉腫オルガノイド」と呼ばれるモデルを作っています。このモデルを使うと、幹細胞を中心にどのように腫瘍が大きくなっていくのか、その過程を調べることができます。この幹細胞の特性がわかれば、直接病巣に対してアプローチする「分子標的治療薬」の開発につなげられると考えています。私は、このような基礎研究だけでなく、患者のからだにぴったりはまり込む特殊なオーダーメイド人工関節や医療機器の開発も進めています。
患者さんが病気から回復するだけでは不十分です。病気前と全く変わりなく仕事に取り組み、趣味やスポーツを楽しむ。こうした人間がもつ動能力を十分に発揮して「人間らしく生活を楽しむ」ことが出来る、そのような整形外科治療を目指しています。夢実現のためには、今以上に異分野の研究者や企業との共同研究が重要です。整形外科は範囲が広いのでたくさんの異分野研究者との共同研究者を募集しています。一緒に研究しませんか?
休日には、ロードバイクで野山を駆けまわっています。 ビールを飲むので体重は減りませんが。