日本の教育を
エジプト流にアレンジする
- ヤスミーン サーミー ガマールエルディーン モスタファ
- Yasmine Samy GamalELDin Mostafa
- 福井大学?奈良女子大学?岐阜聖徳学園大学 連合教職開発研究科 准教授(教師教育)
Profile
1983年、エジプト カイロ生まれ。2004年6月、アインシャムス大学(エジプト)外国語学部日本語学科卒業。2006年3月、アインシャムス大学大学院外国語学科修了。2009年3月、名古屋大学大学院文学研究科 人文学専攻 博士前期課程 修了。2013年3月、名古屋大学大学院文学研究科 人文学専攻 博士後期課程 修了。在エジプト日本国大使館非常勤翻訳者、日本国内でのALT(外国語指導助手)や公的機関での通訳?翻訳者、アインシャムス大学外国語学部日本語学科講師を経て、2018年9月より福井大学連合教職開発研究科 准教授となる。
研究者詳細ページ
日本の小?中学校で教科外活動として推進されている「特別活動(特活)」が、世界に誇れる特有の教育であることをご存じでしょうか。学級活動、行事、給食、掃除など、教科外でありながら他者とのコミュニケーションや問題解決などの面で総合的に子どもの成長を促す活動として、国際的に高く評価されています。
教育改革を進めている私の母国エジプト?アラブ共和国では、特活を中心に日本の教育が注目されています。2016年には、日本政府との間で、エジプトの若者の能力強化を目的とした教育に関する共同パートナーシップ「エジプト?日本教育パートナーシップ(EJEP)」が締結されました。福井大学大学院連合教職開発研究科では、EJEPの一環で、エジプトの日本型学校(EJS)の教職員を研修員として受け入れています。大学で日本語を専攻していた私は、母国での教員経験もあり翻訳の経験もあったことから、研修のサポートに留まらず、研修で得た知見を基に日本型教育の良さをエジプトの教育に生かす教育実践について研究を行なっています。
ただ伝えるだけでは理解し合えない
エジプトの教職員が、日本の学校の実践記録を読み、教育理論の講義を大学で受け日本国内の学校を訪ねて子どもたちとのやり取りに触れます。現役の教職員であっても教育文化の違いのせいか実践記録をとり共有することの意味や重要性が掴みづらいという課題が浮かび上がりました。また、教室での実践を見るだけでは分からない両国の歴史?文化的背景の違いなど、ただ通訳するだけでは伝わらない面もあります。特に学びのサイクルや探究的な学びといった用語の通訳に苦労し、教育現場で使われる用語の意味をそのまま伝えるのではなく、常にそれぞれの背景と差異を意識して言葉で補う必要性を痛感しています。また教員とEJSの研修員双方の声を聴き、協働してプログラムの改善に努めています。
今後は日本の教育方法や背景にある文化をエジプト社会で理解できる形に消化した、現代のエジプトにふさわしい教員の力量形成?職能開発プログラムづくりを研究していきたいと考えています。
生徒を中心とした教育への転換イメージ
家族と一緒に家庭菜園を楽しんでいます。レインボーラディッシュやズッキーニを栽培しています。