粟原 知子

生きるために必要な
“遊び”のススメ

  • 粟原 知子
  • AWAHARA Tomoko
  • 国際地域学部 准教授(建築学?こども環境学)

Profile

1979年、石川県生まれ。2002年、石川工業高等専門学校専攻科環境建設工学専攻修了。2010年、福井大学大学院工学研究科博士後期課程単位取得退学。2011年、福井大学教育地域科学部附属地域共生プロジェクトセンター助教。2016年、同大国際地域学部講師、2021年、同准教授となる。
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高専時代から続ける「子どもの遊び」の研究

 「子どもの遊び」の研究は、高専時代に卒論のテーマとして指導教員からたまたま提案されたのがきっかけです。建築学科にいた私は、教育学や心理学の分野だと思っていた「遊び」のテーマが、建築空間など環境の課題として扱えると分かり、それ以来、のめりこんでいます。
 私がこの研究を始めた20年前、子どもの遊び環境は既に劣化しているとされていました。高度経済成長期の急激な都市開発によって、子どもたちは自由に遊ぶ場所を選ぶことができなくなりました。最も顕著な変化は「秘密基地遊び」の急激な減少です。ギャングエイジと呼ばれる小学校中学年くらいには「ひみつ」の共有を通して人との繋がりや社会性を身に着ける機会になる遊びです。残念なことに20年前には小学4年生でよく見られましたが、現在の小学生は殆どしていません。

遊ばなくなった子どもたちへの支援

 遊びに必要とされる「時間」「空間」「仲間」の「サンマ(三つの間)」もずいぶんと変容し、現代の子どもは友達とオンラインゲームで隙間時間に遊ぶことが多いようです。
 研究で2017年、福井市の小学生を対象に行ったアンケートでは、平日の放課後に「遊ばない」と答えた児童は18%に上りました。子どもは良くも悪くもおかれた環境に適応します。社会的価値観の変化にも大きく影響を受け、そばにいる大人の意識に合わせて、放課後も塾や習い事、大量の宿題に追われるなど遊びに使える自由時間をほぼ、失ってきています。子ども時代に思いっきり遊ぶことが出来なかった子どもたちは心身の成長や大人になってからの心の状態に悪影響を受けると考えています。今、遊ばない子どもの生活の特徴を調査しているところです。
 自動車が安全に走るためにはハンドルに「あそび」が必要なように、人にとって生きるために「遊び」は欠かせないと思います。今後は研究を生かし、子どもたちが自然体で過ごせるよう、どう放課後を支援していくか模索していきたいです。

It's My Favorite!

真っ白なジャンガリアンハムスターを飼っています。丸まった後ろ姿がおにぎりに似ていて可愛いです。