病気の原因遺伝子を
突き止める
- 細野 奈穂子
- HOSONO Naoko
- 医学部 講師(血液?腫瘍内科学)
Profile
1974年、福井県生まれ。2009年、福井大学大学院医学研究科博士課程修了。1999年、福井大学医学部卒業。2001年、福井赤十字病院血液内科勤務。2012年、米国?クリーブランドクリニック留学。2015年、福井大学医学部血液?腫瘍内科助手。2017年より現職。
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血液の病気「MDS」を解析
骨髄異形成症候群「MDS」は、骨髄の中にある造血幹細胞が赤血球や白血球をうまく造れないことから、貧血や感染症などにかかりやすくなる病気。進行すると急性骨髄性白血病(AML)に移行することがあり、根治が期待できるのは造血細胞移植しかないのが実情です。老化や有害物質による造血幹細胞の遺伝子の変異が原因と考えられています。
私が研修医の頃、がんは難病と言われ多くの患者さんが快復できず亡くなられていました。そんな時代でも、白血病は抗がん剤で治せることに驚き、研修を終えたら血液内科に進もうと考えていました。
現在の私は、この病気が進行する仕組みを解明し、新たな治療に結び付けようと、原因となる遺伝子変異を探究しています。人の遺伝子は膨大な数があります。私は、MDS患者の第5番、7番の染色体の一部の欠失がみられたという過去の臨床知見から、これらの染色体上の遺伝子に絞り込みました。個々の遺伝子の働きを網羅的に調べる「ゲノムスクリーニング」という手法をいく通りも使って調べ、MDS発症に責任がある複数の遺伝子を突き止めました。細胞内のストレスやRNAの働きに関わる様々な機能を持つたんぱく質G3BP1、DDX41、CUX1などの遺伝子です。この結果から、MDSの新しい治療アプローチが可能になると考えています。
医師として、研究者として
普段の私は、病院の医師としてMDSやAMLの患者さんと接しています。時には悪い知らせを伝えなければならないこともあります。そんなとき、自分で直接話すことで、患者さんに寄り添い、手を携えて病気に向き合いたいと思っています。血液?腫瘍内科には高齢の患者さんが多く、完治できないケースでも、生活と治療の折り合いがつく方法を模索しています。
一方で、研究者として良い成果を出すために研究に専念したいとの思いもあります。葛藤がありますが、両方に携わることが私のスタイルだと思っています。
オフに漫画を読むことです。お気に入りは「ゴルゴ13」。一話完結で忙しくても読みやすいですね。