山村 修

地域を支える
医療を目指し

  • 山村 修
  • YAMAMURA Osamu
  • 医学部 教授(地域医療)

Profile

1969年、兵庫県生まれ。1994年、兵庫医科大学卒業。福井県立病院で勤務。2000年、国立循環器病研究センター任意研修生。2001年、福井医科大学(現福井大学医学部)大学院医学研究科博士課程修了。2004年、福井県済生会病院神経内科医長。2007年、福井大学医学部第二内科助教。2010年医学部地域医療推進講座(寄附講座)講師。2021年より現職。
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サルコペニア予防を突破口に

 私は高齢化が進む福井県嶺南地域の若狭町で、高齢者のサルコペニア検診を推進しています。「サルコペニア」は年を取るとともに筋肉量が減少し筋力の低下も重なり、活動能力が衰える現象。要介護のリスクにとどまらず、癌、脳卒中などさまざまな病気の治療成績にも関わるとみられています。私は、サルコペニアの予防は、地域医療の課題解決に有効な対策と考えています。本学は若狭町と包括連携協定を結び、今年5月からは民間企業との提携のもと、新たなプロジェクトを開始しました。町内の世帯の多くにIoT機器を配布し、それを介して運動?食生活の指導を行うサルコペニア予防事業です。

 

原点は被災地

 私の原点のひとつは災害支援にあります。1995年、私の地元で大きな災害が起きました。阪神?淡路大震災です。当時私は福井県立病院で研修医として勤務しており、発生から1週間後に県の医療救護班の一員として現地に赴きました。発生からしばらく経っており、重傷者の搬送はすでに終わっていました。しかし避難所では薬不足、食事の偏りなどから生活習慣病などの被災者の持病が悪化していきました。じっとしていたために血栓症となるエコノミークラス症候群も…。災害関連死です。死ななくてもいい人が、多く亡くなっていました。医療に関わる者として、これは大変悔しい。それ以来大きな被災地には、時間が経過した後も必ず赴くよう心がけています。
 昨年8月の嶺北豪雨でも、初期対応を含め災害医療に取り組みましたが、コロナ禍でどの医療機関も人手が足りない中、難しい支援となりました。災害医療は地域医療の縮図。医師、歯科医師、看護師、リハビリスタッフ、管理栄養士、介護福祉士などなど…。災害だからといって平時の医療行為を止めるわけにはいきません。どの職種の方も大切で、必要な人に必要な支援を行う全体を俯瞰する力が問われます。しかし、災害医療に100%の達成感はありません。どうすべきなのか、どうすべきだったのか。いつも自問自答を繰り返しています。

It's My Favorite!

地域の歴史も大好きで、徹底的に調べ、歩き回ります。最近も近所の山を散歩中に中世初期(推定)の短刀を見つけ、福井市による宗教遺跡(経塚)の発掘調査につなげました。身近な歴史を探ると、いくつもの小さな発見に遭遇します。その積み重ねで日々を楽しんでいます。