暮らしを豊かにする
観光まちづくり
- 江川 誠一
- EGAWA Seiichi
- 国際地域学部 講師(観光学、地域経済論)
Profile
1967年、福井県生まれ。1991年、京都大学工学部建築学科卒業。民間のシンクタンクやコンサルティング会社などを経て、2010年10月、福井県立大学地域経済研究所/経済?経営学研究科講師。2023年から現職。
研究者詳細ページ
住んでよし、訪れてよし
私の専門は観光学。中でも観光の視点からの「まちづくり」、言い換えると「住んでよし、訪れてよし」の地域づくりのあり方が主な研究テーマです。近年、京都などでは、観光客が殺到してごみの散乱、市民の生活道路の渋滞といった「オーバーツーリズム」の問題が起きています。目指しているのは、持続可能な観光地づくり。それに向けたモデルを探る研究をしています。
観光に求められるものは、大きく変わってきました。マーケティングの分野で注目される「カスタマーエクスペリエンス(CX)=顧客体験」が観光分野でも重要となり、それらを通して得られる「満足感」や「喜び」が注目されています。坂井市三国湊の盆栽店では、好きな木と器で盆栽を作るワークショップが人気を集めています。世界で一つの作品作りを通じて、既製品にはない物語と愛着が生まれるのです。まさに、「モノの消費」から「コトの消費」へ、「物見遊山型」から地域住民等との交流を通じた「参加?体験型」へ。観光客がその地域に求めるCXに、持続可能な観光まちづくりを実現するヒントがあると思います。
人はなぜ旅をするのか
「可愛い子には旅をさせよ」。この有名なことわざにある“旅” には、成長や経験はもちろん、異日常や非日常の体験?交流といった旅が持つ価値の全てが詰まっているように思えます。私の研究におけるゴールは「人はなぜ旅をするのか」を明らかにすることです。旅をする理由や目的は人によってもちろん違いますし、ライフステージや社会状況によっても異なりますが、その根底には変わらないものと変わっていくものがあるのではないかと考えています。それらをうまく捉えながら、異なる視点や価値に気付き地域活性化やまちづくりにつなげる。学生には観光客の心に迫る視点を持ってもらいたいですね。
人々の意識や行動が、旅を通してどう変化するのかをイメージし、観光客目線から地域資源の見せ方を工夫する。そして地域住民等との交流をそこに組み込む。こういった視点で地域を見直すことこそが、「住んでよし、訪れてよし」のまちづくりへの近道なのではないでしょうか。
自宅の竹藪では毎年タケノコが300本ほど採れます。1か月ほど毎晩天ぷらやお刺身、筑前煮、パスタなどの料理を作って、タケノコ三昧です。