つながりの中で自分の能力を飛躍的に高めていく
- 教育学部(国語教育学)
- 松友 一雄 先生
- 研究者詳細ページ
子どもたちに即時的に係わる
グループで活動して発表し、教員から最後に上手くいっていなかったねとか、こういうところが良かったねとコメントされた経験があると思います。
効果的な授業、学習を行ううえで、こうした学習場面での係わり方をより深くすることが教育現場で重要になっています。グループ活動や授業が終わってから評価してもあまり効果がなく、上手くいっていないと感じたその時にきちんと係わることで気づきが生まれ、学習場面を生み出すことになります。
教師が授業の中で学習者のパフォーマンスを見取り、効果的な介入(インターベンション)を行うことで、子ども同士をつなぎ、子どもの表現力を育み、子どもの思考を深化させる点に注目しています。授業実践力として重要な要素である、インターベンション技術を類型化し、効果的な方法を開発することで、多くの教師が学習者とのより深いコミュニケーションを行うことがうことができるようになると考えています。
変わるための触媒になる
私は大学院を修了した後、現場に出て教師をやっていました。授業をするのが大好きで、ずっと現場にいたかったのですが、現場にいると自分の実践だけに閉じこもってしまう感覚が生まれ、もっと視野を広げて客観的に授業や教育を見つめてみたいと思うようになっていきました。
加えて、教師の中には授業がすごく難しいと考えている人もいて、その人たちと繋がりながら、学校の教員集団をどう組織していくかを客観的に進めたいと考え、研究者の道に進みました。もともと教育評価が専門でしたが、学力を評価するために〝学力とはどういったものか”という学力論が必要で、子どもたちがどのような学習を通してどういう力を習得していくか、授業や教師のコミュニケーションといった内容へと繋がり、インターベンションの研究へと集約していきました。
基本的に学習というものはコミュニケーションなので、対話が成立しないと進んでいきません。対話は、教師と子どもだけでなく、子どもと子ども、教材と子ども、子ども自身の中での対話も含み、自然発生しないため、環境作りや誰かの係わりが必要です。また、教員が一人で考えても限界がありますが、複数の視点から3つ4つのアイディアがあればもっと良い授業ができるようになります。そこで集めた情報を参考にして考えるという能力も必要になります。私たちのような専門家の使命の一つは、情報(ノウハウ)を収集し、選択肢を提案することで、現場のパフォーマンスを上げる触媒になることだと考えています。実際に私も教材研究や実践の情報をまとめ、Webで発信、提案しています。
情報を吸収して違う視点で考える
私がよくみなさんに伝えている二つの視座があります。自分の知っている範囲で物事を考えるという価値観を逸脱して欲しいということと、自分の能力は、個人だけではなくて、繋がりの中での総体としての能力だと考えることです。苦手なことにでも、この人に聞けばいい、この本を読めばわかる、と考えられないと繋がることができません。悩んでいる人も、そうでない人も、自分の能力の範囲はすごく狭いので、もっと情報を吸収すれば飛躍的にパフォーマンスを上げていけるし、繋がりも広がります。学生さんは近くにいる人やものを触媒にして、違う視点で考え続けて欲しいと思います。
今ハマっていること★
講演や学校の授業研究で訪れる様々な土地で、歴史や風土に目を向けてぶらぶら歩きます。特に神社での「おみくじ」に凝っていて、基本的に大吉が出るまで引きます。これは、先日岐阜県の水無神社で引いた「大大吉」です。