新しい知見を発見し、医学の進歩に貢献したい
- 医学部 眼科学領域(眼科学、緑内障)
- 稲谷 大 先生
- 研究者詳細ページ
失明原因トップの緑内障
眼科は、日本の科別医師数でも5~6位に入る非常に大きな診療科で、 白内障や緑内障、加齢黄斑変性など高齢者がかかる疾患が多く、糖尿病網膜症のように生活習慣病に分類される疾患も扱うので、日本のような高齢化社会の先進国では、非常に患者さんが多く、需要の多い診療科です。
そのなかでも、緑内障は、重症化すると失明に至る怖い病気です。福井では、高齢の方でも車を運転する方が多く、かかると生活の質が著しく低下します。わたしは、これまで緑内障を専門に手術や研究に取り組んできました。緑内障は、眼球中の水分が多くなり、眼圧が高くなることで視神経が圧迫され、視野が欠ける病気です。どんどん進むと最終的には失明に至ります。手術では、眼球に穴を開けて中の水を取り出し、眼圧を下げます。ただ眼圧を下げすぎると、眼球がしぼんで、やはり視力が低下します。穴の大きさをどうするのか、どこまで眼圧を下げるのかは、これまでの経験に基づいて決めています。しかし、手術で眼圧を下げた後に再び眼圧が上昇したり、眼圧が正常でも発症する緑内障、糖尿病網膜症に緑内障を併発するものもあり、その治療を難しくしています。 今、研究では、手術後に眼圧の再上昇を抑えるにはどうすれば良いか、手術時に眼圧をどこまで下げれば良いかということに取り組んでいます。
眼の研究を、医学の発展につなげる
眼は、そのシンプルな機能や構造から、研究対象としても思い切ったことができる分野です。眼は、硝子体が透明であるため、視神経や血管が透けて見え、目で見て判断、評価ができます。また、目薬で直接眼に薬を投与でき、薬剤の効果が出やすく、副作用を抑えることができます。現在、iPS細胞を使った加齢黄斑変性の再生治療が行われていますが、この再生医療が眼科領域で始まったのは、心配されている移植細胞のがん化なども目で見て確認することが可能だからだと思います。また、私は留学時代に、眼の視神経に関する研究から脳の機能に関する研究成果を挙げました。これは眼科医ならではの発想が ポイントとなったことから、今後も医学の発展につながるような発見ができるのではと期待しています。
「どうしたらできるか」を考える心を養う
日本では、少子高齢化が進み、人口の減少が懸念されています。たとえ医師になっても海外へ働きに出なければならない時代が来るかもしれません。すでに海外から日本にも治療を受けるために来日する外国人は増えてきており、外国人観光客が日本国内で受診することも増えてくるでしょう。そこに対応するためには、最低限「英語」は必須です。英語ができないばかりに活動範囲が小さくなってしまうのはもったいないです。やりたいことを実現するために、ぜひ身につけておくことをオススメします。
今ハマっていること★
株式投資に興味を持ち、勉強をはじめました! 教授になってから、団体やNPOなどの収支報告を見ることが多くなり、役立っています。アップルの洗練されたデザインも大好きで、移動中に愛用のiPadやiPhoneで株価をチェックしています。