難病に苦しむ患者さんを救いたい
- 医学部医学科 皮膚科学領域(皮膚科学、膠原病)
- 長谷川 稔先生
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皮膚や内臓が固くなり、動かなくなる「全身性強皮症」
全身性強皮症は、自己免疫疾患で難病とされる膠原病(こうげんびょう)の中でも最も治療が難しい疾患の一つといわれています。
皮膚組織が線維化し、硬くなる病気で、初期には、指先など末端から硬化が現れ、重症化すると顔面や体幹に広がり、内臓組織が線維化することもあります。
一度発症すると、完治は難しいため、重症化を防ぐ治療が主になります。間質性肺炎などの内臓病変が重症化すると、死に至ることもあります。
重症化を食い止めるために
全身性強皮症の原因は特定されておらず、その治療法は確立されていません。治療には、早期発見、診断が重要で、その後の病気の進行を左右します。 これまでの研究から、強皮症では発症早期から、寒冷刺激で指先が白くなるレイノー現象のほかに、爪の根元に特徴的な出血点や拡張した毛細血管ループが見られることが知られています。 また、発症早期の皮膚硬化がはっきりしない時期から毛細血管ループ内の血流速度が著明に低下しており、この所見が早期診断に非常に役立つことを明らかにしてきました。
また、強皮症ではなぜ線維化を生じるのかを明らかにするために、サイトカイン(特定のたんぱく質)などの遺伝子欠損マウスを用いて研究を行ってきました。今後も研究を続け、新規治療法を開発したいと考えています。
病に苦しむ患者さんのために
これまでにさまざまな患者さんに出会ってきましたが、全身性強皮症が重症化して、寝返りを打つこともできず、水を飲むこともできなった患者さんから、「この病気で苦しむ方がいなくなるように、治す方法を見つけてほしい。」と献体していただいたことなどが、私の研究の原動力となっています。 これからも常に患者さんに還元できる研究に取り組んでいきたいと考えています。