小林 渓太

“良い授業”の開発 
教育工学で

  • 小林 渓太
  • KOBAYASHI Keita
  • 教育学部 講師(教育工学、授業デザイン工学)

Profile

長野県生まれ。2012年、静岡大学教育学部技術教育専修卒業。 2014年、早稲田大学大学院環境?エネルギー研究科修了修士(学術)。 2019年、早稲田大学大学院環境?エネルギー研究科修了博士(学術)。私立学校の技術?情報教諭、信州大学助教(URA)などを経て2021年、福井大学教育学部助教に着任。2024年4月から現職。
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少人数クラスに「バーチャル転校生」登場

 ―少人数学級のある日。「今日は転校生が一緒です」と教員が紹介して授業が始まりました。その転校生は、教員のパソコンにつながったディスプレイの画面の中。学級の生徒とは全く違った生活圏、首都圏から来たという仮想の「バーチャル(V)転校生」です。授業は社会科。南米大陸の途上国で開発による環境悪化の問題がテーマで、生徒らから「環境を守るため開発よりも環境保全を優先すべき」と意見が出て、環境保護が大勢になります。ところが、V転校生は「開発でたくさんお金が稼げ、便利な生活ができるなら良いじゃないか」と言います。意表を突かれた生徒たちは強く反論することもあれば、抑えていた本音を語り出すことも。言いにくい雰囲気を乗り越え、自由な議論が始まります―
 少規模の学校?学級では、言葉を交わさずとも理解しあえる人間関係がある反面、衝突を避けるあまり多様な意見が少なくなる傾向があります。この課題は結構やっかいです。教員が働きかけを行ったとしても、教室での立場は時に強すぎる場合があります。教員の意見に誘導され、子どもが思考しないまま終わってしまうこともあります。このような課題に取り組むために開発したのが、この教育用アバターアプリ「V転校生」です。

 

バーチャル転校生を活用した授業風景

授業の要素を分析し、時代に合わせた教育へ

 授業はさまざまな要素が複雑に組み合わさって構成されているため、テクノロジー導入の効果は、要素を分解?データ化して分析する必要があります。「V転校生」も良い授業の開発?実践に役立つツールになればと導入したものですが、その効果の分析にもテクノロジーを用いて研究しています。時代に合わせた教育には、情報活用のリスク対策やモラル教育の開発も合わせて進めています。
 これから教員になる学生にも,テクノロジーを活用した授業の開発と、データを活用した学習効果の分析により、より良い授業とは何かを追究してほしいと思っています。

It's My Favorite!

クレーゲンーム好きが高じて、中学生用の教材を使って自分で作っちゃいました。