子どもの笑顔
エネルギー源
- 安冨 素子
- YASUTOMI Motoko
- 医学部医学科 講師(小児科学/アレルギー?免疫学)
Profile
滋賀県生まれ。1996年、福井医科大学(現福井大学)医学部卒業。2005年、福井医科大学大学院医学系研究科博士課程修了。福井社会保険病院(現JCHO福井勝山総合病院)勤務を経て、2009年、福井大学医学部助教。2015年より現職。
研究者詳細ページ
新生児拡大マススクリーニング
元気に生まれた赤ちゃんでも潜在的に病気を抱えていることがあります。早期発見し、治療につなげることが可能な「新生児マススクリーニング」という検査法があります。発病する前にほんの数滴の血液を採取するだけで分析でき、ほぼ全ての赤ちゃんが対象となります。近年、検査可能な対象疾患が増えており、追加費用で重症複合免疫不全症(SCID)検査が可能となりました。SCIDは、生まれつき細菌やウイルスなどの病原体を排除するために必要な免疫担当細胞が欠損しており、骨髄移植を受けないと命を落とす恐ろしい病気です。
以前、感染症を発症したSCIDの患者さんを救命できなかった苦い経験があります。感染症発症前に診断がつけば助かった命かもしれません。このような状況を減らしたいとの思いでSCIDを含む免疫不全の二次精密検査を担当しています。
私は大学院時代からフローサイトメトリーという細胞表面マーカーの発現パターンにより細胞を同定する実験を行っており、それが免疫不全の二次精密検査においても役立っています。より多くの子どもたちの健康と幸せに貢献できればと思っています。
寄り添える医師を目指して
子どもは病院に来るとき、体調はよくないし、非日常の空間だし、不安な気持ちになっています。そういう時、私は保護者だけでなく、なるべく子どもに直接話を聞き、人対人として向き合うように心がけています。入院時には赤ちゃんでも、1年後には歩けるほど成長していますから、小児科医は「その子が将来どんな姿になっているだろう?」と想像する未来志向の仕事だと思います。
診療を通じて、奇跡のようだと感じる場面もあります。基礎疾患が分からないまま病死した兄弟がいたため、次のお子さんは新生児期に検査をさせて頂きました。その結果、兄弟そろって同じ病気だと分かり、次のお子さんの早期治療にもつながりました。まるで病死した兄弟が家族を見守っているようだと感じた瞬間でした。
さまざまな子どもの成長に立ち会えることが、私の仕事への活力源。子どもとのふれあいや新しい病態の発見など科学的好奇心に満ちた、忙しくも充実した毎日です。
美術館巡りが好きです。時間があれば、世界中の美術館を巡ってみたいです。(メトロポリタン美術館 右側)