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第52回米国機械学会 配管と圧力容器強度に関する国際会議 第26回Rudy Scavuzzo杯争奪学生セッション学士?修士部門ファイナリスト選出

大学院工学研究科 博士前期課程 機械工学専攻 2年

中野 浩樹さん

原子炉圧力容器やエネルギーを供給するパイプラインなどの構造物は、運転期間中に判別できないほどの小さな、き裂や鈍化した形状の欠陥が生じていきます。これが経年劣化というもので、この欠陥が成長して伝播すると、破断がおき重大な事故を引き起こす危険性があります。

製造時点から長年供用されてきた各種インフラ設備(例えば、原子炉圧力容器)を継続して使用するには、「十分に強度余裕があるはず」で納得するだけではなく、「想定以上に劣化が進んでいない」「定量的にこれだけの強度余裕がある」と示し、人々に安心してもらうことが求められます。このため、原子炉圧力容器では運転開始時点に「監視試験片」を入れ、原子炉容器に使用されている材料の劣化や脆化による深刻な破壊を未然に防ぐために定期的に監視試験片を取り出し、強度試験を行います。

ここでの技術的課題は、欠陥の形状と材料強度の関係の解明です。それぞれの欠陥を模擬した試験片の材料強度に関する研究が既に行われており、欠陥部分の寸法が大きくなるとともに材料強度が上昇する結果が得られています。

本研究では材料強度試験により欠陥部分の寸法と材料強度の定式化を行い、実験的に得られた結果の原因について有限要素解析を用いて考察しました。き裂、複数の鈍化した欠陥部分の試験片モデルで独自に開発した「応力分布スケーリング手法」に当てはめたところ、破壊前の応力分布に共通点が見られました。この応力分布に着目した評価基準は、既存の原子炉圧力容器の高経年化に対して監視試験片の不足を解消する有効な手段として、国際学会で今回表彰を受けました。

飯井俊行教授は、「物事には『型』があり、『型』を知る、『型』にはまることがあるレベルまでは必要である」と教えていただきました。自分の研究がなかなか進まない事もありましたが、飯井教授の熱心な指導により『型』にはまることにより、研究初めの第一歩を踏み出すことができ、その後は順調に研究を進められるようになりました。自由な発想も大切かもしれませんが、学び始めの人にとっては『型』(基礎)を知ることが大切だと思いました。今後の人生においても、この精神を忘れずに過ごしていきたいと思います。

最後に、どんな時でも熱心に指導してくださった飯井教授、日頃から様々な面で支えてくれた研究室のメンバーに深く感謝したいと思います。本当にありがとうございました。

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